【国公立大学・私立大学別】医学部入試方法の違い・基礎知識まとめ

医学部受験とひと口に言っても、国公立と私立とでは偏差値や倍率、受験科目、出題傾向、学費などが大きく異なることをご存じでしょうか。
国公立と私立のそれぞれの特徴と違いを知ったうえで、どちらを目指して受験するのかをよく考えて選ぶ必要があります。

この記事では、将来医師になることを目指して医学部受験を考えている人に向けて、志望校を選ぶために知っておきたい情報をピックアップして、わかりやすくまとめています。

医学部入試の基礎知識・入試方法

まず最初に、医学部入試の基礎知識として、全国にある国公立・私立の医学部の入試方法や傾向について、詳しく解説します。

全国の82大学に医学科が設置されている

日本国内には、2020年度現在、82の大学に医学科が設置されています。
その内訳は、国公立大学では50大学、準大学で1大学(防衛医科大学校)、私立大学で31大学です。

【国公立】
*旧帝大…計7大学
東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学*旧制医科大…計7大学
千葉大学、新潟大学、金沢大学、京都府立医科大学、岡山大学、長崎大学、熊本大学*旧医専…計19大学
札幌医科大学、弘前大学、福島県立医科大学、東京医科歯科大学、横浜市立大学、群馬大学、信州大学、名古屋市立大学、岐阜大学、三重大学、大阪市立大学、神戸大学、奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学、鳥取大学、広島大学、山口大学、徳島大学、鹿児島大学
※大阪市立大学は、2022年4月に大阪府立大学と大学統合が行われ、「大阪公立大学」となる予定です。

*新設された医大…計 18大学
旭川医科大学、秋田大学、山形大学、筑波大学、富山大学、福井大学、山梨大学、浜松医科大学、滋賀医科大学、島根大学、佐賀大学、香川大学、高知大学、大分大学、愛媛大学、宮崎大学、琉球大学

*準大学…計1大学
防衛医科大学
※防衛医科大学校は、文部科学省所管外の大学校です。

【私立】
*私立御三家…計3大学
慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学*旧医専…計10大学
昭和大学、岩手医科大学、東京医科大学、順天堂大学、東邦大学、東京女子医科大学、日本大学、大阪医科薬科大学、関西医科大学、久留米大学
※日本大学は、専門部医学科から1942年に旧制大学医学部に昇格しました。
※大阪医科薬科大学は、旧大阪医科大学です。(2021年4月に大阪薬科大学と統合予定)*新設された医大…計18大学
自治医科大学、獨協医科大学、埼玉医科大学、帝京大学、東海大学、杏林大学、北里大学、聖マリアンナ医科大学、愛知医科大学、藤田医科大学、金沢医科大学、近畿大学、川崎医科大学、兵庫医科大学、、福岡大学、東北医科薬科大学(2016年に新設)、産業医科大学、国際医療福祉大学(2017年に新設)

医学科入試の傾向

医学科の入学定員は、定員増が始まる前の2007年度よりも、約1,700名増えました。
この背景には、近年の慢性的な医師不足を解消する目的で、政府が2008年度から医学部の定員を増やす規制緩和策を実施した影響があります。

2014年度までの数年間は志願者の上昇傾向が続いていましたが、2019年度以降は落ち着いてきています。2016年度と2017年度にはそれぞれ1校ずつ、医学部が新設されました。

国公立大学

国公立大学の志願者数は、地方のほうが倍率が高くなる傾向があります。
また、前期試験を実施する大学が多いため、後期試験は定員自体が少なく、倍率が高くなります。

そのため、前期で確実に受かる大学を選ぶ受験生が多いです。
総合型選抜や学校推薦型選抜の拡大が見られます。

また、学校が作成する調査書や、受験生本人が記載する志望理由書の提出を求める大学が増えてきています。

志望理由署に書く内容などについては、「医学部志望理由書」に書くべき内容とは?押さえるべきポイントを解説の記事を参考にしてみてください。

私立大学

有名私立大学の医学部を志願する受験生は、増加傾向にあります。
受験者数は国公立よりも圧倒的に多いです。
前期・後期とも倍率はとても高くなっています。

選考方法に関しては、2期入試の導入、大学入学共通テストや英語資格・検定試験を利用する方式の追加など、一般選抜の多様化が進んでいる傾向が見られます。

医学科の入試科目

医学科の入試科目についても、国公立と私立とで特徴が異なります。
ここからは、それぞれの入試科目について解説します。

国公立大学

国公立大学では、共通テストの5教科7科目が基本となっています。
二次試験科目では、前期日程は、英語・数学・理科2科目の学科試験プラス面接という大学がほとんどです。

東京大学・京都大学・名古屋大学・山形大学は、国語も加わります。
理科については、物理・化学・生物の3科目から2科目の選択受験です。

北海道大学では物理が必須、群馬大学・金沢大学・名古屋市立大学・愛媛大学・九州大学・佐賀大学では、物理・化学が必須となっています。(2021年度入試 前期日程)。

2021年度の共通テストの理科では、佐賀大学(前期)と名古屋市立大学(前期)が物理・化学を必須としています(2020年6月現在)。

後期日程では、小論文または総合問題に加えて、面接が行われます。

私立大学

私立大学では、英語・数学・理科2科目と小論文・面接が基本となっています。
理科については国公立と同じく、物理・化学・生物の3科目から2科目の選択受験としている大学が多いです。
中には、理科1科目のみだったり、小論文や面接がない大学も一部あります。

医学科入試には「医学部予備校」への入学がおすすめ

医学科入試は、各大学によって出題傾向に特徴があり、年ごとに変更もあります。
多くの受験科目の膨大な出題範囲を、限られた勉強時間でいかに効率よく勉強するかが、医学部合格の重要なポイントとなります。

医学部入試に確実に合格するためには、医学部予備校へ入学するのがおすすめです。
医学部予備校では、無駄のないカリキュラムが用意されています。

医学部受験に精通した講師陣からきめ細かな指導を受け、受験対策に必要なポイントに的を絞って、効率よくエネルギーを注いだ学習をすることが可能です。

また、これまで医学部に多数の合格者を送り出してきた実績を基に、的確でタイムリーなアドバイスが得られます。

わからないことがあった時に相談できる先生や、共に学び切磋琢磨し合えるライバルたちがいる環境は、モチベーションの維持に大きなプラスとなります。
医学部予備校に入学するメリットについて詳しく知りたい方は、医学部予備校に通うメリットまとめ。大手予備校やその他方法と比較もの記事も参考にしてみてください。

まとめ

まとめ
*医学科は、全国の82大学に設置されている
*医学科の入学定員が増え、志願者も増加傾向が続いていたが、近年落ち着きつつある
*国公立大学では、共通テストの5教科7科目が基本
*私立大学では、英語・数学・理科2科目と小論文・面接が基本
*医学科入試には「医学部予備校」への入学がおすすめ

今回の記事では、医学部受験の基礎知識として、国公立と私立の入試方法の違いを中心にお伝えしてきました。

志望校を選ぶ際には、前年度の倍率を見て決める人も多いと思います。
倍率の低い大学に人気が集中して、倍率が高くなるケースがあります。

前年度の倍率だけにとらわれて倍率の低い大学を選ぶのはリスクが高いので、他の要素も踏まえて慎重に判断することをおすすめします。受験大学を決める時の参考にしてみてくださいね。